ウェルエージング協会の歩み

一般社団法人日本ウエルエージング協会の歩み

令和2年8月9日 

日本ウエルエージング協会は、日本で最も古い「老年問題」研究の団体です。

1953年 (昭和28年) 医学博士吉田壽三郎創設提案のもと、東京女子医大学長の久慈直太郎を初代会長として、「日本寿齢科学協会」として発足、その後会長は、吉田壽三郎へと引き継がれました。

以後この老年問題の研究は、世界規模で個と集の立場からその対応を考える研究が進められて来ました。

10年後の1963年、アメリカ東部のエリ・カンティで「ウエルエージング ンファレンス」という会議が行われ

「ウエルエージング」が世界の用語となりました。

 

人生50年と言われ、70歳で古稀が祝われた時代ですが、戦後、抗生物質の出現を中心とする西洋医学療法の素晴らしい進歩により、

著しい寿命の伸長が見られるようになりました。

他方、出生率は低下傾向にあり、これは国の人口の年齢構成から、近い将来の未曽有の高齢社会を予見させるものでした。

 

 1959年、47歳の時に、吉田壽三郎は、1年半にわたり、当時最高の長寿国スウェーデンに留学しました。

その結果、そこに見たものは、高齢者の95%が寝たきりとなり、弱っても死ねない厳しい延命。

  老人の孤独深まる西欧福祉社会でした。

滞欧中、近代科学がエージングに与える影響を研究テーマにした吉田壽三郎は、抗生物質で長生きする患者を看続けて来ました。

そして、共に学び、仕事をする医師たちに尋ねてみました。

「医者はこういう患者に何が出来るか?」 異口同音に「リハビリ」という答えが返って来ました。

 さらに質問を続けました。「リハビリを除いて何が出来るか?」

ほとんど何も答えが返ってません。

 これは、東西医学の粋を極めても覆い得ない「人間問題」であり、人生観、世界観の変革を喚起するものでした。

近代科学の発展によって、長生きが可能になった時代、何か人間の人生にとって大切なものを犠牲にしてしまったのではないか?

「高齢社会は文明病であった」

そう振り返った時、吉田壽三郎は「ウエルエージング」という思想を掲げて活動を始めたのです。

 

今、まさにこの超高齢社会、人生100年時代を迎えて
日本ウエルエージング協会は、創設者吉田壽三郎の残した思想を引き継いで

皆様とともに、人間性豊かな老年期を創り出すために、活動を継続してまいります

 

 1992年には、カナダ、オンタリオ州から、日本で初めての高齢者共感体験プログラム、®️ インスタント・シニアを導入

装具をつけて高齢者の身体機能の低下を体験することから生まれる、街や施設、商品づくりが目指されました。

 ®️ インスタント・シニアプログラムの活用により、まず創られたのが成田国際空港です。

街にノンステップバスも走るようになりました。街や施設、鉄道、住宅、生活材、あらゆるものが、高齢者にも使いやすい、という視点から創られていきました。

 

 リタイヤ後の人生をいかに充実して生きるか、が目指されるようになり
趣味や遊び、ボランティアへと、高齢者の生活を楽しむ行動は急速に広がり
運動による体力づくり、食生活への学びも、盛んになりました。

 

「健康」が人々の問題意識の第一位となり、それにつれて高齢者の身体の機能も向上し、元気に過ごす高齢者が増えました。

 しかしながら、日本の高齢者率は年々上昇し、2019年9月15日の総務省の発表によりますと、

団塊の世代が70歳となった2019年、65歳以上の人口は全人口の28.4%、世界に名だたる超高齢社会となりました。
その動向が世界の注目を集めるようになりました。

 団塊の世代が後期高齢者に参入する2025年には、高齢者率が30%となり
さらに、第2次ベビーブーム世代(1971年~1974年生まれ)が65歳以上なる2040年には35.3%。3人に一人は65歳以上という時代に入る見通しです。

 

 高齢人口の増加による、高齢者の医療費、介護費が、国の財政を揺るがせるものになりました。

加えて、長寿化した親の介護の問題が、子供世代、そして孫世代までも巻き込み、労働人口の、毎年10万人と言われる介護離職の問題が、深刻なものになりました。

 今や高齢者問題は、全国民のものになりました。

 

今、高齢者問題は、身体機能の問題を超えて、高齢者の心、精神の問題、認知機能へと広がっています。

また、世界中から食材の集まる飽食の日本の環境下にも拘わらず、高齢者の3分の1が、低栄養、低蛋白のフレイルの状態にある、という実態があります。フレイルは、要介護に繋がります。

 現在、日本人の平均寿命は、女性87.45歳、男性81.41歳(2019年現在)となり

人生100年時代、と言われ所以です

 

 「高齢者は生涯元気に明るく、自立して生き抜こう」

これが、現在の日本ウエルエージング協会の目指していることです。

高齢者が健康で元気に生きることが社会のためでもあり、次の世代のためでもあるのです。

例え身体機能が衰える、認知症になるなど何らかの他者のサポートが必要となったとしても、老後をいかに美しく生きるか、孤立せずに仲間を持ち、小さいことでも社会や人のために貢献して、ポジティブに生きよう、という意欲が、高齢者の心身の健康を支えます。高齢者の価値観も変わりました。

 

  日本ウエルエージング協会は、時代のニーズに合致して、単なる身体的機能にとどまらず、現在高齢者の生活現場にある認知機能の問題、その他精神面の問題への学びと対応を入れて、インスタント・シニア・プログラムも新プログラムへと、リニューアルをいたしました。

 元気に生きる高齢者の社会参加を支援し、人生をこう生きたい、という高齢者一人一人の幸せな人生を支える社会づくりを目指してまいります。

 是非ご一緒に、みんなが明るく生きる社会づくりをして行きましょう! 


                      20233月 一般社団法人日本ウエルエ―ジング協会

                                   代表理事  小川 利久


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