会員から

2018年3月22日掲載

第二期ウエルエージング時代の価値形成

日本ウエルエージング協会理事・事務局 加藤 夕紀子

日本で唯一のインスタント・シニア(高齢者擬似体験プログラム)運営団体

インスタント・シニア事業の運営を、長年、ウエルエージング総合研究所に委託してまいりましたが、本年3月31日でその契約を解除することになりました。それに伴い、4月1日から本協会インスタント・シニア事業部フォーラム事務局ですべての運営を務めることになりました。今後一層皆さまのお役に立てていただくべく事業の発展に努めてまいりますので、引き続きご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。理事一同、インストラクターの認定資格を取り、この高齢社会での問題発掘、解決のお手伝いをさせていただく所存でございます。

1953年に現在の高齢社会を予測する中で協会を設立。高齢社会に向けて街や施設、商品づくり、人々の意識の改革への啓蒙を進める中で、1992年、日本で初めてカナダのオンタリオ州政府との独占契約によりライセンスを与えられ、高齢者擬似体験プログラム「インスタント・シニア」を実施する唯一の団体になりました。そのプログラムがまず使われたのが、日本の空の玄関である成田国際空港でした。そしてその後も、街にはノンステップバスも走るようになるなど、多くの貢献をしてまいりました。

第二期ウエルエージング時代の到来

第一期ウエルエージングの時代は、寿命の伸長により、定年後の生活をどう生きるかが問われ、人生を「長さ」ではなく、いかに生きるかの「質」で捉える価値観の転換が促されました。“高齢者による高齢者のための”活動でした。

現在、平均寿命が女性87歳、男性81歳の超高齢社会を迎え、団塊の世代の後期高齢者への参加を控えて、人々のウエルエージングへの概念も変わって来ました。第二期ウエルエージングの時代の到来です。

医療と社会保険の充実、食生活の向上により元気な高齢者が増えました。2017年1月には、日本老年学会から、高齢者を現在の65歳から75歳へ、という提言が出されました。就労人口としての若年層の減少から、70歳までは元気に働く、という社会的要請が出て来ました。

片や、老親の介護の問題、老々介護の問題が、暮らしの場を深刻にしています。高齢層の医療費、介護費の増大が歯止めのきかないものとして、国の経済を揺るがすものとなっています。高齢化は、いまや高齢層の問題ではなく、すべての人々の問題、社会の問題になりました。

今、人々の中にあるウエルエージングは「生涯元気に生きて、人の手を煩わせることなく、自立して生ききること」

生活現場のそうした問題とともに、働く場においても、利用者、お客様の多くは高齢者である現実の中で、そのことへの理解と視点が求められています。今後労働人口に高齢者が参入して来ることにより、労働環境も変わって来ます。

高齢者の身体的、心理的変化への理解に向けて、インスタント・シニアのプログラムの活用にも、新しい分野が拓けて来ました。

成熟社会に求められる価値

高齢社会は成熟社会です。

付加価値の名のもとに、間違ったCS(顧客満足)の時代に頭の中で考えられた、要らないものが沢山出来て来ました。食品の包装材一つ考えても、そのためのゴミの問題が地球規模での問題になっています。

成熟社会は基本価値が大事にされる時代です。本物が育つ時代です。

ネガティブに語られることの多い長寿化・少子化の人口減少社会ですが、長きにわたり高齢問題に取り組んできた本協会は、それを深く見極める中で、そこに見出されるプラスの価値、今後の社会に育てられるもの、に光をあてて社会に投げかけ、皆さまと共に育てていきたいと考えております。